【勘違いしやすい!】危険物倉庫と少量危険物倉庫の違いとは?|設計・法規・費用の基本を解説

危険物を保管・取り扱う倉庫には、用途や取扱量によって「危険物倉庫」と「少量危険物倉庫」という区分があります。

両者は一見似ているように見えますが、消防法の適用範囲・建築基準・設計要件・コストに大きな違いがあります。

この記事では、それぞれの定義・法規制・設計上のポイントをわかりやすく比較しながら、企業が倉庫建設・用途変更を検討する際に押さえるべき判断軸を解説します。

■ 「危険物倉庫」とは?【消防法の対象施設】

「危険物倉庫」は、消防法において指定数量以上の危険物を保管・取り扱う施設であり、以下のような要件があります。

  • ガソリン、軽油、灯油、アルコール類などが対象

  • 危険物の品目・数量・容器形態に応じて、法的規制が細かく決まっている

  • 建築基準法における「特殊建築物」に該当

  • 消防法第9条の適用により、防火区画・耐火構造・距離制限などが必要

  • 消防設備(泡消火設備・スプリンクラー等)の設置義務あり

特に注意が必要なのは、周囲の建物・道路との離隔距離です。
この距離が確保できないと建築確認が通らず、計画自体が難航します。

■ 「少量危険物倉庫」とは?【消防法の適用外】

一方、「少量危険物倉庫」は、指定数量の1/5未満の危険物を保管する施設です。

以下のような特徴があります。

  • 指定数量の1/5未満 → 消防法上の「危険物施設」には該当しない

  • 消防署への届出や許可は不要(地域による)

  • 建築基準法上は一般倉庫と同じく取り扱われることが多い

  • 構造の制限は緩やか(ただし火災リスクの観点から設計注意は必要)

【例】
ガソリンの指定数量:200L
→ 少量危険物として扱える上限は 40L未満

■ 危険物倉庫と少量危険物倉庫の違い【比較表】

項目危険物倉庫少量危険物倉庫
法的根拠消防法・建築基準法建築基準法のみ(消防法対象外)
対象物量指定数量以上指定数量の1/5未満
建築基準耐火構造・防火区画必須地域によって制限あり
消防設備義務(泡消火等)通常不要
離隔距離必須(隣地・道路・他施設)不要または緩和可
届出・許可消防署・建築確認ともに必要通常は届出不要
建設コスト高(坪単価80〜120万円以上)比較的安価(40〜70万円程度)

■ よくある質問(FAQ)

Q1. 少量危険物倉庫であれば、自由に保管できる?

いいえ。
消防法の適用外であっても、火気厳禁や換気設備などの安全措置は必要です。
また、自治体ごとに条例で制限があるケースもあるため、事前確認が必須です。

Q2. 将来的に指定数量を超える可能性がある場合は?

→ その場合は、初めから危険物倉庫として設計しておく方が賢明です。
途中から構造変更や用途変更を行うと、新たに消防設備・耐火構造などが求められ、結果的にコスト増につながります。

Q3. 仮設倉庫や簡易構造でも少量危険物は扱える?

→ 一部地域では可能ですが、近隣建物や人通りの多さにより制限を受けるケースもあります。
都市計画や用途地域の確認も忘れずに。

自社の取り扱い量と将来性を踏まえて倉庫種別を選ぶべき

危険物倉庫と少量危険物倉庫では、構造・法令・建設費・申請手続きに大きな違いがあります。

事業のフェーズ(試験運用・量産体制・販売エリア拡大)によって最適な選択肢が変わるため、中長期的なスパンでの物流戦略と倉庫設計の整合性が重要です。

まとめ

倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。