【既存倉庫の構造で決まる】増築可能な構造・難しい構造とは?

老朽化やスペース不足を理由に、既存倉庫の増築を検討する企業が増えています。
特に、建替えではなく「部分的な増築」でコストと工期を抑えることは、
中小企業にとって現実的かつ効果的な選択肢です。

しかし、既存倉庫の構造形式によって「増築の可否や方法」が大きく異なることをご存知でしょうか?

本記事では、倉庫の主要構造(S造・RC造・木造)ごとに、
増築のしやすさ・注意点・法的制限について、建設マネジメント会社の視点から解説します。

■ 倉庫の構造形式とその特徴

まずは、倉庫で多く採用される3つの構造形式の概要を整理しましょう。

構造種別特徴主な用途
S造(鉄骨造)柱や梁を鋼材で構成。施工が早く、自由度が高い多目的倉庫、物流倉庫
RC造(鉄筋コンクリート造)コンクリート+鉄筋で構成。耐久性・遮音性に優れる大型工場、冷蔵倉庫
木造木材を主構造とする。コストが安く軽量小規模倉庫、一時保管庫

この構造形式によって、増築のしやすさや必要な補強工事の内容が変わってきます。

■ S造(鉄骨造)は最も増築しやすい構造

鉄骨造はその構造の柔軟性・軽量性・施工性の高さから、最も増築に適した構造です。

  • ボルト接合によるフレーム拡張が容易

  • 軽量なため、基礎への負担が少ない

  • 外壁・屋根もパネル工法が多く、既存部分との連結がしやすい

ただし、注意点としては以下のような点が挙げられます:

  • 既存構造の耐震性を再確認(増築部分との剛性バランス)

  • 柱や梁の錆び・劣化確認(補強要否)

  • 容積率・建ぺい率の再計算が必要

■ RC造は構造的には強固だが増築は難しい場合も

RC造は耐久性に優れる一方で、増築時の自由度が低い傾向があります。

  • 増築部分にも同等の構造強度が求められる

  • 構造躯体が重く、基礎の補強工事が大がかりになりがち

  • 鉄筋とコンクリートの接合部処理(アンカー設置など)が必要

特に、既存RC造の設計図面がない場合築年数が古い場合は、
構造計算・耐震診断が必要になり、費用・期間が膨らむ点に注意が必要です。

■ 木造倉庫は基本的に大規模な増築に不向き

木造倉庫はコスト面で有利ですが、構造上の制約から増築には向かないケースが多いです。

  • 柱・梁が細いため、連結部分に構造的弱点が生じやすい

  • 耐火・耐震性能が低く、法規制が厳しい

  • 経年劣化により構造補強が必要になるケースも

木造の場合は、**既存倉庫をそのまま残して隣接地に新設する「新棟建築」**を選ぶ方が現実的です。

■ 増築時にチェックすべき法規・構造項目

構造形式にかかわらず、増築時には以下のような項目を事前に確認する必要があります:

  • 建築確認申請の必要性(増築面積が10㎡超の場合)

  • 現在の用途地域による容積率・建ぺい率の残存率

  • 避難経路の確保、消防法上の制限

  • 既存建物の耐震基準適合状況

  • 地盤の耐力と基礎補強の可否

これらを無視して工事を進めた場合、違反建築物になるリスクもあるため、
設計段階での構造診断と法的調査が不可欠です。

構造に応じた増築計画が鍵

倉庫の増築は、構造形式によって対応方針が大きく異なります。

構造形式増築のしやすさ備考
S造◎ 増築しやすい構造連結が柔軟、費用も比較的抑えられる
RC造△ 工期・コスト増加構造解析が必要、基礎補強も想定
木造× 制約が多い原則は新棟検討がおすすめ

弊社では、倉庫の構造調査から増築計画、法規対応まで一貫してサポートしています。
「既存倉庫の構造で増築できるか分からない」「建替えか増築かで迷っている」など、
お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

まとめ

倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。