【用途変更に注意】倉庫を増築して事務所・作業所を併設するときの法的ポイントとは?

倉庫を運営している企業の中には、業務の拡大や業態の変化により、既存の倉庫に事務所機能や作業スペースを併設したいと考えるケースが増えています。
一見シンプルな増築のように見えても、実は用途変更が発生し、建築基準法や都市計画法の規制対象になることがあり、注意が必要です。
この記事では、倉庫の増築によって事務所や作業所を併設する場合に押さえるべき法的ポイントについて、倉庫建設マネジメント会社の視点からわかりやすく解説します。
■ なぜ「用途変更」が問題になるのか?
建物の使い方(用途)には、建築基準法で分類があり、たとえば以下のように分かれています:
倉庫:用途分類「倉庫」
事務所:用途分類「事務所」
作業所:用途分類「工場」または「作業場」
同一建物内に異なる用途を含める場合、一定の基準を超えると建築確認申請が必要になるほか、用途変更手続きが必要です。
■ 用途変更のチェックポイント
以下の条件に該当する場合、「用途変更」とみなされ、法的手続きが必要になります:
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 増築部分の延床面積 | 10㎡を超える場合、建築確認申請が必要 |
| ② 用途の異なる機能の追加 | 例:倉庫→事務所、倉庫→作業所など |
| ③ 建築基準法上の用途区分が変わる | 建物全体の構造・避難・耐火性などの再確認が必要 |
用途変更には、「構造耐力・避難経路・防火区画・採光・換気」など、法的要件が異なるため、単純なリフォーム感覚で進めると違反になる可能性があります。
■ 併設による影響と対応ポイント
1. 構造安全性の再確認
作業所や事務所を併設する場合、人の滞在時間や人数が増えるため、床荷重や避難経路の見直しが必要です。
2. 防火区画と耐火性能の確認
事務所や作業所は、倉庫よりも高い防火基準が適用される場合があります。
特に準防火地域や防火地域内では、構造種別の制限や延焼防止構造の設置が必要です。
3. 容積率と建ぺい率の再確認
用途が変わると、自治体が定める容積率の計算方式も変わる可能性があります。
都市計画区域内では、建てられるボリュームの見直しが必要となるため、事前調査が欠かせません。
4. 消防設備・衛生設備の見直し
作業所や事務所を併設する場合、消防法に基づく感知器や消火器の追加が必要です。
また、トイレや給湯室など衛生設備の数・配置もチェック対象となります。
■ 違反になるケースとは?
以下のようなケースは「違法建築」とみなされる可能性があります:
用途変更が発生しているのに確認申請を出していない
法的基準を満たしていない事務所・作業所を運用している
倉庫の一部を無断で改修し、別用途に使用している
これらは行政指導・使用停止命令・是正勧告の対象となる可能性がありますので、注意が必要です。
用途変更を伴う増築は、早めの法的確認を
倉庫に事務所や作業所を併設する計画は、業務効率化や人員配置の面で大きなメリットがありますが、建築基準法や都市計画法の「用途変更」に関する規制を軽視すると、思わぬトラブルにつながります。
計画初期の段階から、建築士や設計マネジメント会社に相談することで、手戻りなくスムーズな建設・運用が可能になります。
まとめ
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


