【発火リスクに備える】危険物倉庫の静電気対策と設計段階での必須チェックリスト

危険物倉庫を建設・運用するにあたって、見落としてはならないのが**「静電気による発火リスク」です。
特に引火性液体(第1類〜第4類危険物)や粉塵爆発の可能性がある可燃性物質**を取り扱う場合、
静電気の蓄積と放電が引火源となり、重大な事故につながる可能性があります。
本記事では、危険物倉庫の建設・改修を検討する企業向けに、
静電気対策の基本と、設計段階で押さえるべきポイントを解説します。
■ なぜ危険物倉庫で静電気対策が必要なのか?
倉庫内では、以下のような場面で静電気が発生します:
液体の充填・移送時に容器との摩擦で発生
パレットやコンベアで可燃物を運搬する際に摩擦帯電
作業員の歩行・衣類のこすれによる人体帯電
空調による乾燥環境で帯電しやすくなる
この静電気が、火花放電やコロナ放電を引き起こすと、倉庫内に存在する可燃性ガスや粉塵に火が引火し、火災や爆発事故につながります。
■ 設計段階での静電気対策ポイント
① 導電性床材の採用
倉庫内の床材に帯電防止機能付きの塗床材や導電性タイルを採用することで、
人や機械の動作によって発生する静電気を床を通じてアース(接地)に逃がすことが可能です。
➡︎ 導電性樹脂塗装などが一般的で、表面抵抗値10⁶Ω以下が目安。
② 作業員の静電気対策
作業員が着用するユニフォームや靴も重要な要素です。
帯電防止作業服(JIS T8118に準拠)
導電靴または静電気拡散型の安全靴
静電気除去リストバンドの着用(充填作業時)
➡︎ 特に液体の移し替え作業時には人体アース処理が必須です。
③ 容器・配管のアース処理
危険物を保管する金属製ドラム缶やコンテナにアース線を接続
配管設備(特に可燃性液体の移送)も定期的な接地抵抗チェックを行う
➡︎ アースが不十分だと蓄積された静電気が火花を生み、爆発的引火の引き金になる可能性あり。
④ 空調・湿度管理による帯電防止
静電気は乾燥した環境で特に発生しやすくなります。
庫内湿度が30%以下になると帯電しやすくなるため、空調設計において適切な加湿機能の導入も重要です。
➡︎ 推奨湿度:40〜60%
➡︎ 特に冬場は注意が必要(空気が乾燥し、作業員の帯電リスク上昇)
■ 工事時・運用時の対策もセットで考える
倉庫の静電気対策は、設計段階だけでなく施工時・運用時にも継続的な確認が必要です。
建築工事中にアース処理が正しく行われているかの現場チェック
導電性床材の定期点検(表面抵抗チェック)
消防署による立入検査の際にも静電気対策の整備状況が問われる可能性あり
静電気対策は「目に見えないリスク」だからこそ、設計・運用段階での明確な対策が不可欠です。
火災・爆発は一度発生すると甚大な損失を生むため、事前の備えが企業価値を守る最大の防御策になります。
まとめ
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


