中古倉庫を購入するときに注意すべき法規制と確認書類一覧|既存不適格の見分け方も解説
中古倉庫を購入して自社物流拠点や工場として活用する企業が増えています。
しかし、中古物件には**「現行法に適合していない建物」が多く存在し、
購入後に「改修ができない」「用途変更が通らない」**などのトラブルが発生するケースも少なくありません。
本記事では、中古倉庫を購入する際に必ず確認すべき法規制と書類一覧を、
建設マネジメントの視点からわかりやすく解説します。
リスクを未然に防ぎ、安心して投資判断を行うための実務ガイドです。

1. 中古倉庫購入で注意すべき法規制とは?
中古倉庫は、建築当時の法律に基づいて建てられた建物であり、
現在の建築基準法や都市計画法に必ずしも適合しているとは限りません。
特に注意すべき主な法規制は次の通りです。
1-1. 建築基準法(構造・耐震・防火)
耐震基準の変更(1981年以前の建物は旧耐震)
防火区画・避難経路の不足
接道義務(幅員4m以上)を満たしていないケース
→ これらに該当する場合、改修・用途変更時に確認申請が必要になり、追加費用や工期延長のリスクがあります。
1-2. 都市計画法・用途地域
中古倉庫の立地が「準住居地域」「市街化調整区域」などの場合、
倉庫用途として新たに使用・改修できないことがあります。
特に、農地転用や開発許可を要するケースは、行政協議に時間がかかります。
1-3. 消防法・労働安全衛生法
建物用途を「一般倉庫→物流センター」「倉庫→製造工場」に変更する際は、
スプリンクラー・火災報知器・非常口など消防設備の設置義務が変わります。
これを怠ると、使用開始後に是正命令を受けるリスクも。
2. 「既存不適格建築物」とは?
中古倉庫の購入で最も注意すべきキーワードが**「既存不適格建築物」**です。
✅ 既存不適格とは
建築当時は合法だったが、法改正により現行法に適合しなくなった建物のこと。
(例)建ぺい率・容積率超過、耐震基準未満、接道不足など。
❗ 問題点
既存不適格のままでは、
増築・大規模改修ができない
用途変更が認められない
建替え時に現行基準を満たす必要がある
などの制約があり、将来的な資産価値や柔軟な運用が難しくなることがあります。
✅ 購入前に「既存不適格判定調査(法適合性診断)」を実施することが、
法人による倉庫投資の基本です。
3. 中古倉庫購入前に確認すべき書類一覧
中古倉庫を購入する際は、以下の書類を必ず入手・確認しましょう。
特に、建築確認関係と図面が揃っているかどうかが重要です。
| 書類名 | 内容・確認ポイント |
|---|---|
| 建築確認済証 | 建築確認申請が行われた正式な証明書。確認番号・日付・用途をチェック。 |
| 検査済証 | 竣工時に完了検査を受けた証明書。未取得だと「未完了建築物」と扱われる場合あり。 |
| 建築計画概要書 | 構造・規模・用途地域など基本情報が記載。役所で取得可。 |
| 構造図・平面図・立面図 | 現況と図面が一致しているかを確認。改築時に必須。 |
| 登記簿謄本 | 所有者・地目・用途地域を確認。地目が「宅地」以外の場合は転用が必要。 |
| 公図・地積測量図 | 境界トラブル防止のために確認。隣地との越境有無もチェック。 |
| 耐震診断報告書(任意) | 旧耐震の場合は新耐震基準との比較資料として活用。 |
| インフラ図面(電気・上下水道) | 更新可否や容量不足のリスク確認。 |
書類が一部欠損している場合は、役所調査や現地実測・再図面化を検討しましょう。
4. 書類・法規チェックを怠るとどうなるか?
中古倉庫購入後に次のようなトラブルが多く発生しています。
🧱 改築できない:既存不適格で確認申請が通らない
💰 想定外の改修費用:耐震補強・防火改修が必要
⏰ 稼働開始の遅延:行政協議・再申請に数ヶ月かかる
🏢 用途変更不可:倉庫から事務所併設にできない
これらはすべて、事前に法令調査と書類確認をしていれば防げるリスクです。
5. 建設マネジメント会社を活用するメリット
中古倉庫の法規・書類確認は、
不動産会社だけでなく建設・設計の専門知識が必要になります。
建設マネジメント会社(CM)は、
・法令調査(建築基準法・都市計画法・消防法)
・既存図面・確認書類の精査
・用途変更・改修時の行政協議
をワンストップで対応可能。
専門的な視点でリスクを可視化し、購入判断前に“建て替え・改修の可否”を明確にすることで、
不測の損失を未然に防ぐことができます。
“書類の整備状況”が中古倉庫投資の成否を分ける
中古倉庫の購入は、単に立地や価格だけで判断してはいけません。
建築確認・法規制・用途地域・構造図面の整備状況を確認することが、
後悔しない投資の第一歩です。
購入前に専門家による法適合性チェック+書類確認+行政ヒアリングを行うことで、
改修・増築・運用まで見据えた最適な意思決定が可能になります。
AGECでは、中古倉庫の法令調査・既存図面確認・用途変更申請・改修設計をトータルでサポートしています。
物件購入前のリスク診断をご希望の企業様は、ぜひご相談ください。
まとめ
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


