倉庫の構造別メリット・デメリット|鉄骨・RC・木造の選び方【CM会社が解説】

倉庫の新築や建て替えを検討する際、最も重要な判断の一つが「構造の選定」です。構造の種類によって、コスト、工期、耐久性、運用効率が大きく変わるため、用途や立地条件に合った選択が求められます。本記事では、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、木造の3つの構造形式について、建設マネジメント(CM)会社の視点から、それぞれの特徴と選定時のポイントを解説します。

鉄骨造(S造)|コストと自由度のバランスが高い

メリット

  • 短工期・低コスト:構造材の加工が工場で行われるため、現場工期が短く済みます。設計から施工までのスピード感が求められる物流業界などに最適です。

  • 大空間の確保が容易:柱スパンを大きく取れるため、フォークリフトや無人搬送車(AGV)の運用効率を最大化できます。

  • 将来の増築や改修がしやすい:部材の接合がボルト中心のため、用途変更や機械更新時の柔軟性も高評価。

デメリット

  • 耐火性能への配慮が必要:特に都市部では、耐火被覆や防火区画の確保が必要であり、その分のコスト増に注意。

  • 断熱・防露対策が必要:金属の特性上、外気温の影響を受けやすく、冷蔵倉庫などでは断熱材の適切な選定が不可欠です。

鉄筋コンクリート造(RC造)|耐久性と遮音性を重視するなら

メリット

  • 高い耐火性・耐久性:火災や地震に強く、長期的な資産としての評価が高い。高温機器を扱う工場や危険物倉庫に適しています。

  • 遮音・遮熱性能が高い:近隣との距離が近い市街地や住宅地での使用に向いています。

  • 資産価値が安定:金融機関からの評価も高く、固定資産としての安定感があります。

デメリット

  • 建設コストが高い:型枠・打設・養生など手間が多く、坪単価が上がりやすい。初期投資には慎重な検討が必要です。

  • 工期が長い:乾燥期間や工程数が多いため、早期稼働が必要なプロジェクトには不向きな場合があります。

木造|低コスト・短工期で環境性能も高評価

メリット

  • コストパフォーマンスが高い:鉄骨やRCに比べて材料費が安く、施工スピードも早いため、工費と工期の両方で優位性があります。

  • 環境性能に優れる:木材はカーボンニュートラル資材として注目されており、ZEB対応や環境配慮型施設に最適です。

  • 補助金の対象になることも:CLT(直交集成板)を活用した中大規模木造建築は、国の補助金対象となる場合があります。

デメリット

  • 耐火・耐久性に課題あり:法令上の制約も多く、大規模施設や工業地域での使用には用途制限があることも。

  • 用途による制限がある:湿気や温度管理が求められる食品倉庫や医薬品倉庫では、適切な処理・設計が必須です。

建設マネジメント(CM)会社としての提案

構造の選定は、初期投資だけでなく、運用コストや維持管理、将来の拡張性までを視野に入れることが重要です。建設マネジメント方式(CM方式)では、発注者の立場に立ち、設計・施工・コスト管理を中立の立場で調整します。構造の選定段階からCM会社が入ることで、利害の偏りなく最適な構造提案が可能となり、**「コストと性能の両立」**を図ることができます。

構造形式特徴向いている用途
鉄骨造(S造)低コスト・短工期・大空間一般物流倉庫、大型配送センター
RC造耐火・耐久・遮音性危険物倉庫、高温工程を伴う工場
木造短工期・環境配慮・補助金対象小規模倉庫、ZEB対応施設、農産物加工施設

まとめ

倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。