物流倉庫市場の動向と建設コスト予測レポート|需要拡大とコスト高の行方を読む
2025年に入り、物流倉庫の建設市場は引き続き堅調な需要を維持しています。
EC需要の増加やサプライチェーンの再構築、さらには自動化・省人化投資の加速により、
倉庫の新設・再開発は全国各地で活発化しています。
一方で、建設コストの上昇や人手不足、土地取得競争の激化といった課題も顕著です。
本記事では、2025年の物流倉庫市場の最新動向と、今後の建設コストの予測を
建設マネジメントの視点からわかりやすく解説します。

1. 2025年の物流倉庫市場の全体動向
📈 需要は依然として高水準を維持
2024年後半から2025年にかけても、
EC(電子商取引)・3PL(物流受託)・製造業の国内回帰が倉庫需要を支えています。
EC取扱高は前年比+7.5%(経済産業省調べ)
物流施設の延床面積供給量は、全国で約1,000万㎡(前年比+4%)
首都圏・関西圏を中心に大型マルチテナント倉庫の新規計画が続伸
特に、**地方主要都市(福岡・広島・仙台)**では、
「地域内配送拠点」として中規模BTS型倉庫の開発が増加しています。
🏭 供給過多ではなく“質的転換期”へ
2020〜2023年にかけて一時的な過剰供給が懸念されましたが、
2024年以降はテナントの入居率が再び上昇傾向。
ただし、今後は単なる床面積拡大ではなく、
**省人化・環境対応・複合機能化(事務所併設など)**が求められる“質の時代”に入っています。
2. 地域別の市場傾向(2025年時点)
| 地域 | 主な動向 | 建設トピック |
|---|---|---|
| 首都圏(東京・埼玉・千葉) | 大型物流施設の再開発が集中。湾岸エリアは土地価格上昇。 | 再開発・老朽化更新案件が増加中。 |
| 関西圏(大阪・兵庫・京都) | 工業団地内でのBTS型需要が高水準。 | 物流・製造一体型施設が増加。 |
| 中京圏(愛知・岐阜・三重) | 自動車部品系サプライチェーンの再構築需要。 | 工場併設・冷凍倉庫の開発が進行。 |
| 九州・北海道地方 | 地方拠点+防災対応型倉庫の建設が増加。 | BCP対応・ZEB倉庫が増加傾向。 |
📊 全国的に「首都圏一極集中」から「地域分散型ネットワーク構築」へのシフトが進んでいます。
3. 2025年の建設コスト動向
建設コストは、2024年から2025年にかけて平均5〜10%上昇しています。
主な要因は次の3つです。
① 建材価格の高止まり
鉄骨・コンクリート・断熱材などの主要資材が依然高水準。
特に鉄骨価格は2020年比で約+25%。
② 人件費の上昇
建設業界の人手不足が続いており、施工単価も上昇。
とくに鉄骨工・電気工事・空調設備などの専門職が不足しています。
③ 省エネ・ZEB対応コスト
ZEB ReadyやBCP対応の設計が求められ、設備費が増加。
ただし、補助金制度の活用により実質負担を軽減する企業も増えています。
4. 倉庫建設コストの目安(2025年時点)
| 倉庫タイプ | 構造 | 坪単価の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 一般的な常温倉庫 | 鉄骨造・平屋 | 約18〜28万円/坪 | 地域・仕様により変動 |
| 冷蔵・冷凍倉庫 | RC造・断熱構造 | 約30〜45万円/坪 | 設備費の比率が高い |
| 自動倉庫(高層ラック) | 鉄骨造・多層構造 | 約35〜50万円/坪 | 自動搬送設備含む |
| BTS型倉庫 | 鉄骨造・専用設計 | 約25〜40万円/坪 | 長期契約を前提に設計最適化 |
| リノベーション(改修) | 既存構造を再利用 | 約10〜18万円/坪 | 床補強・断熱改修など |
📌 平均的な中規模倉庫(延床3,000㎡クラス)の建設総額は 約12〜15億円 が目安です。
5. 2025年以降の市場トレンドとキーワード
① 自動化・省人化の加速
AGV・AMR(自動搬送ロボット)や自動倉庫システムの導入が進み、
「ロボット対応倉庫」設計のニーズが急増中。
② ZEB Ready・カーボンニュートラル対応
倉庫でも環境認証(ZEB・CASBEE)の取得が一般化。
再エネ設備や高断熱仕様を組み込んだ環境対応型物流拠点が主流へ。
③ BCP・防災機能強化
災害時の事業継続を前提に、
非常電源・高床化・浸水対策などの防災型倉庫が増加傾向。
④ 地方分散化・中規模拠点の増加
大都市圏に集中していた物流拠点が、
今後は地方主要都市+高速IC周辺に分散していく流れ。
6. 2025年以降に建設を検討する企業へのアドバイス
1️⃣ 早期のコスト計画・資材確保
→ 着工時期を前倒しすることで、資材価格変動の影響を抑えられます。
2️⃣ 補助金・助成金の活用
→ 「省エネ投資促進支援事業」「事業再構築補助金」などで設備費を軽減。
3️⃣ 建設マネジメント(CM)導入
→ 設計段階からコスト・スケジュール・品質を最適化するCM方式が有効です。
4️⃣ リノベーションの検討
→ 新築が難しいエリアでは、老朽倉庫のリノベーションによる再活用も選択肢。
“量から質へ”転換する2025年の物流倉庫市場
2025年の物流倉庫市場は、**「大量供給の時代」から「最適運用・環境対応の時代」**へと転換しています。
今後は、単なる建設コストの比較だけでなく、
BCP・省エネ・自動化・地域分散といった複合的な視点から計画を立てることが不可欠です。
Wareriseでは、倉庫建設のコストマネジメント・ZEB設計・改修提案を一貫してサポートしています。
2025年以降の物流戦略に合わせた最適な倉庫計画をご検討の企業様は、ぜひご相談ください。
まとめ
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


