食品・医薬品物流における温度管理倉庫の設計ポイント|失敗しないための基礎知識と注意点

近年、食品および医薬品業界では「温度管理」が品質保証の鍵となっており、物流拠点である倉庫の設計にも高い精度が求められています。本記事では、温度管理倉庫(コールドチェーン倉庫)を建設・設計する際の基本的な考え方から、設備のポイント、建築マネジメント(CM方式)における注意点までを解説します。
なぜ温度管理倉庫が必要なのか?
食品や医薬品は、一定の温度帯を保たなければ劣化・変質が進み、品質問題や法令違反に繋がるリスクがあります。特に以下のような品目に対しては、厳密な温度・湿度管理が必須です。
食品:冷凍食品、乳製品、生鮮品など
医薬品:ワクチン、インスリン、点眼薬、試薬など
温度管理倉庫の主な種類と温度帯
倉庫タイプ | 対応温度帯 | 主な保管品 |
---|---|---|
冷凍倉庫 | -25℃〜-18℃ | 冷凍食品、医療用試薬 |
冷蔵倉庫 | 0℃〜10℃ | 生鮮食品、医薬品全般 |
定温倉庫 | 15℃〜25℃ | 医薬品(常温指定)、加工食品 |
多温度帯倉庫 | エリアごとに温度分離 | 医薬品と食品の混在管理 |
設計で失敗しないためのポイント
1. 動線と温度ゾーニングの設計
温度管理エリアは、搬入・保管・出荷の動線を意識した設計が必要です。異なる温度帯でのクロスコンタミネーション(温度混入)を防ぐため、物理的な間仕切りやエアカーテンの導入が有効です。
2. 冷却・加温設備の選定
冷却ユニットや空調機の配置は、保管効率だけでなくエネルギー効率にも影響します。冷却能力に過不足があると、温度管理が不安定になるため、品目の特性に応じた設計が求められます。
3. 結露・湿度対策
湿度管理は特に医薬品倉庫で重要視されます。結露は建材やパッケージの劣化を招くため、断熱材や防湿シートの選定・施工精度が品質を左右します。
4. 省エネ対策とZEB対応
温度管理倉庫は電力消費が大きいため、ZEB Ready対応やBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)導入による省エネ設計も今後重要になります。
5. 保健所・GMP・HACCP等の法令遵守
温度管理倉庫は、食品衛生法やGMP(医薬品製造基準)への対応も必須です。建築段階から法規制のチェックを行い、必要な届出や検査に備えた設計とすることが求められます。
建設マネジメント(CM方式)での注意点
CM方式を採用する場合、以下のようなメリットがあります:
複数社から設備見積を取得し、コストの透明化が可能
医薬・食品メーカーとの調整により、要件のブレを最小化
設備導入のスケジュールと建築工程を一元管理
しかし、温度管理倉庫のような特殊施設では、設計・施工の初期段階から専門性の高いサポートが不可欠です。当社では、冷蔵・冷凍・定温ゾーンを含む倉庫建設のCM経験を活かし、法規制対応から省エネ設計までを一括支援しています。
ご相談はお気軽にどうぞ。食品・医薬品の物流拠点づくりを成功に導くために、建設段階からのサポートが鍵となります。
まとめ
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。