【物流センターの設計フロー】複数テナント型の注意点と収支計画

建設前に押さえておきたい「設計・法規・コスト」の基本

EC市場の拡大、即日配送のニーズ、そしてドライバー不足──
こうした時代背景の中、今あらためて注目されているのが「物流センター」の新設です。

特に**複数の企業が入居できる“マルチテナント型倉庫”**は、投資回収性や柔軟な運用面で注目されており、首都圏・関西圏を中心に新築が増加しています。
しかし、通常の単一テナント倉庫と比べて、設計・法令・設備要件が格段に複雑になるため、建設にあたっては入念な計画が欠かせません。

この記事では、マルチテナント型物流センターの設計フローと注意点、収支計画の基本を解説します。

■ マルチテナント型物流センターとは?

ひとつの建物を複数の企業がシェアして利用する賃貸型倉庫のこと。
主に以下のようなメリットがあります。

  • 需要変化への柔軟な対応が可能

  • 空室リスクを分散できる

  • 賃貸収入が複数から得られ、収益性が高い

一方で、法的区画・動線分離・共用設備の設計難度が高くなるため、構想段階から専門的な視点が求められます。

■ 設計フロー|基本構想〜実施設計まで

① マーケット調査とニーズ分析
  • 対象エリアの賃料相場・物流動線・アクセス性を分析

  • どの業種のテナントを想定するか(EC/医薬品/温度管理など)

② 面積・ゾーニング計画
  • 1社あたりの専有面積設定(例:延床1万㎡に5社入居)

  • 各区画の火災区画分け・セキュリティ分離を考慮

③ 搬送・荷捌きスペースの設計
  • テナントごとのトラックバース、搬入出ルートの確保

  • AGVやフォークリフトの動線計画も含めた設計が必要

④ 建築法規・インフラの整理
  • 用途地域、容積率、耐火建築物の要件

  • 各区画の消防・避難経路の独立性確保

■ よくある設計上のトラブル

以下のような点で、設計・施工後に問題が発生するケースも少なくありません。

よくある失敗内容
想定より狭いバーストラック同時搬入が困難に
消防法区分が複雑テナント変更時に是正費用発生
荷捌き場が共用で渋滞出荷遅延・トラブルの原因に
空調区画が統一一部温度管理必要な業種に非対応

■ 収支計画|建設コストと賃料収益の目安

マルチテナント型倉庫のコストと収益バランスの一例を以下に示します。

項目目安
建設費坪単価12〜20万円程度(構造・仕様により変動)
月額賃料坪あたり4,000〜8,000円程度(地域により異なる)
想定利回り年間5〜8%(空室リスクと運営コストを含む)
補助金活用ZEB Ready対応で国の支援制度を活用可能

※稼働率や設備仕様により上下しますので、収支モデルは設計段階で検討必須です。

■ 設計段階から注意すべき3つの視点

  • どの業種が入るかを明確に
    → 食品、医薬品、危険物など、それぞれ法令・構造要件が異なる

  • 消防・避難・電源の分離性
    → 単独稼働が可能なよう、完全分離設計が推奨される

  • 長期保有か、収益化か
    → 自社利用と賃貸運用の比率により、必要な設計・設備が大きく異なる

事業性と法令対応を両立させるには?

マルチテナント型の物流センターは、高い収益性とリスク分散性を持つ一方で、設計・法規・運用の複雑さがネックになりやすいプロジェクトです。

「どのような業種に貸すのか?」「将来的な用途変更は可能か?」「補助金は受けられるか?」など、建てる前に検討すべき要素は多岐にわたります。

そのため、初期段階から設計・法令に強いパートナーとともに進めることが、成功のカギとなります。

📌 複数テナント型倉庫の建設や事業化をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

コストの一部は建材調達にかかるため、品質と価格のバランスを考慮した建材選びがポイントです。弊社では、大手サプライヤーからの安定供給により、高品質な建材を適正価格で調達しています。

まとめ

倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。