倉庫の排水計画|雨水・汚水・油流出の分け方と豪雨・浸水対策のポイント
物流倉庫を計画する際、屋根や外壁、床、ラック、バースなどに比べると、排水設備は後回しになりやすい項目です。しかし近年の局地的な豪雨を考えると、倉庫の排水計画は単に「雨水を敷地外へ流す設備」ではなく、浸水による商品損害や物流停止を防ぐBCPの一部として考える必要があります。
2026年8月22日には関東南部で局地的に強い雨が降り、東京都練馬では1時間66.5mm、東京では日降水量110.5mmを記録しました。また、練馬区を流れる白子川では一時、氾濫危険水位を上回るなど、短時間の強雨によって都市部でも浸水リスクが急激に高まることが改めて示されました。
大型物流倉庫では、広い屋根とトラックヤードから大量の雨水が短時間に集まります。敷地内の側溝や雨水管に一定の排水能力があっても、雨の強さが設計条件を上回ったり、放流先となる下水道や河川の水位が上昇したりすれば、敷地外へ十分に排水できなくなる可能性があります。
さらに倉庫では、トイレなどの生活汚水、床や設備の洗浄水、冷凍設備のドレン、車両から流出する油など、雨水とは性質の異なる排水も発生します。工場併設倉庫や食品・化学品を扱う施設では、さらに排水条件が複雑になります。
そのため倉庫の排水計画では、雨水・生活汚水・事業活動に伴う排水・油や薬品を含む可能性のある排水を分け、「通常時にどこへ流すか」と「豪雨・事故時にどこで止めるか」を同時に考えることが重要です。本記事では、物流倉庫を新築・改修する発注者向けに、雨水、汚水、いわゆる産業排水、油流出の違いと、豪雨・内水氾濫を考慮した排水計画のポイントを解説します。

倉庫の排水は「すべて同じ系統」ではない
倉庫から発生する水は、見た目には同じでも、発生場所や含まれる物質によって処理方法が異なります。
屋根に降った雨は基本的に雨水として扱います。トイレや洗面などから出る水は生活汚水として処理します。一方、床洗浄や設備洗浄など事業活動によって発生する排水には、油、洗剤、食品残渣、薬品などが含まれる可能性があり、単純に雨水系統へ流せるとは限りません。
さらに、トラックヤードは通常時には雨水しか発生しなくても、車両事故や故障によって燃料・潤滑油などが漏れた場合には、通常とは異なる対応が必要になります。
したがって、排水口や配管を先に決めるのではなく、「その場所から何が流れる可能性があるのか」を確認してから排水系統を設定することが基本になります。
| 排水区分 | 主な発生場所 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| 雨水 | 屋根・ヤード・車路・駐車場 | 排水能力、側溝、貯留、浸透、放流先 |
| 生活汚水 | トイレ・洗面・休憩室 | 公共下水道等への接続 |
| 事業活動に伴う排水 | 床・設備洗浄、食品関連作業など | 水質、排除基準、前処理 |
| 油を含む可能性のある排水 | 車両・整備・給油関連エリア | 油水分離、流出防止、遮断 |
| 薬品等を含む可能性のある排水 | 化学品等の取扱区域 | 回収、流出防止、法令確認 |
なお、「産業排水」という言葉は広く使用されていますが、法令上すべての事業所排水を一つのカテゴリーとして同じように扱うわけではありません。施設用途、設備、水質、排水量、放流先などによって必要となる対応が異なるため、実際には排水の性状を確認して判断する必要があります。
2026年8月の関東豪雨から考える倉庫の排水リスク
2026年8月22日の関東南部の大雨は、倉庫計画において「河川沿いだけが浸水リスクの高い場所ではない」ことを考えるうえでも参考になります。
練馬では1時間66.5mmの雨が観測され、東京でも1日の降水量が110.5mmとなりました。このように短時間に雨が集中すると、河川の水位上昇だけでなく、道路側溝や下水道の処理能力を超えることで、市街地や低地に水がたまる可能性があります。
倉庫用地を選定する際には、近くの大河川による洪水リスクだけを確認するのでは不十分です。自治体が公表している場合には、洪水ハザードマップに加えて内水ハザードマップなども確認し、敷地周辺で雨水がどのように集まる地形になっているかを見る必要があります。
特に物流倉庫では、広い屋根と舗装されたヤードを持つため、一般的な建物よりも雨水流出量が大きくなりやすい点に注意が必要です。
河川氾濫と内水氾濫は分けて考える
倉庫の浸水対策では、河川氾濫と内水氾濫を分けて考えることが重要です。河川氾濫では、河川の増水によって堤防を越えたり、破堤したりすることで周辺へ水が流れ込みます。一方、内水氾濫は短時間に大量の雨が降り、下水道や排水路などの能力を超えることで、市街地や低い土地に雨水がたまる現象です。
つまり、大きな河川から離れている倉庫であっても、敷地周辺の道路や排水施設の条件によっては浸水する可能性があります。土地選定時には「洪水浸水想定区域ではないから大丈夫」と判断せず、敷地の標高、周辺道路との高低差、既存水路、下水道、過去の道路冠水履歴なども確認することが重要です。
大型倉庫ほど短時間に大量の雨水が集まる
大型物流倉庫では、屋根面積が数千㎡から数万㎡規模になることがあります。さらにトラックヤード、駐車場、車路の大部分もアスファルトやコンクリートで舗装されます。建設前には土や草地だった敷地でも、倉庫完成後は雨水が地中へ浸透しにくくなり、短時間に排水設備へ集中することがあります。
そのため倉庫の雨水排水では、屋根の樋・竪樋だけでなく、ヤード、駐車場、車路など敷地全体を対象として雨水量を考える必要があります。さらに、側溝まで雨水を流す舗装勾配も重要です。排水管自体の能力が十分でも、ヤード中央やバース前に水が滞留すれば、荷役作業へ影響します。
屋根排水・側溝・舗装勾配・雨水管を一つのシステムとして計画することが重要です。
排水管を大きくするだけでは豪雨対策にならない
豪雨対策として「排水管や側溝を大きくすればよい」と考えることがあります。しかし、敷地内の設備能力を高めても、放流先となる公共下水道や河川の水位が上昇していれば、敷地外へ十分に排水できない可能性があります。
特に局地的な強雨では、周辺地域にも同時に大量の雨が降るため、敷地外の排水インフラそのものが高負荷になります。そのため大型倉庫では、「どれだけ早く水を外へ流せるか」だけでなく、外へ流せない時間帯に敷地内で雨水を一時的に受け止められるかという考え方も必要です。
自治体の基準や開発条件などに応じて、雨水貯留槽、調整池、浸透施設などを検討する場合があります。
雨水貯留施設はBCPの一部として考える
雨水貯留槽や調整池は、行政上必要だから設けるだけの設備ではありません。短時間に集中する雨を一時的に受け止め、ピーク時の放流量を抑える役割があります。
物流倉庫では、ヤード下に地下式の雨水貯留施設を設けることもあります。その場合、上部を大型トラックが走行するため、貯留施設の構造条件も考慮しなければなりません。
ポンプによって放流する方式では、停電時の対応も重要です。大雨と停電が同時に発生すると、雨水は入り続ける一方でポンプが停止する可能性があります。そのため、貯留容量だけでなく、ポンプ停止時にどの程度まで水位が上昇するのか、非常用電源を確保する必要があるのかまで確認することが重要です。
設計雨量を超えたとき「水がどこへ行くか」を考える
排水設備には処理できる能力の上限があります。そのため、想定を超える雨が降る可能性そのものをゼロにはできません。重要なのは、排水能力を超えた際に、水がどこへ流れるのかを想定しておくことです。
例えばヤードの最も低い場所がバース前になっていれば、排水能力を超えた雨が倉庫入口へ集中し、庫内へ浸水する可能性があります。また、キュービクルや設備室など重要設備が低い位置にあれば、少量の浸水でも物流機能全体が停止することがあります。
そのため豪雨対策では、通常時の排水経路だけでなく、オーバーフロー時に重要区画を避けて水を逃がせる計画になっているかを確認することが重要です。
倉庫床とヤードの高さ関係も浸水対策になる
浸水対策では、倉庫の床レベルも重要になります。倉庫床が周辺道路やヤードより低ければ、豪雨時に外部から水が流れ込みやすくなります。一方で床レベルを高く設定すると、浸水リスクを低減できる可能性がありますが、バース高さやスロープ、トラック接車条件、造成費にも影響します。
そのため床高さは、建築だけで決めるのではなく、周辺道路、想定浸水深、敷地造成、ヤード勾配、バース高さを含めて検討します。
大型倉庫では計画GLを変更すると大量の盛土が必要になる場合があり、造成費へ大きく影響します。土地購入後に浸水対策を考えるよりも、土地選定段階から高さ関係を確認することが重要です。
バース前が冠水すれば倉庫内が無事でも物流は止まる
倉庫の浸水被害というと、商品が水に浸かる状態を想像しがちです。しかし物流施設では、建物内部が浸水していなくてもヤードやバースが使用できなくなれば入出荷が停止します。
トラックが安全に接車できない、ドライバーが乗降できない、フォークリフトがバース周辺を走行できない状況になれば、倉庫としての機能を維持できません。特に生産工場へ部品を供給する物流拠点では、倉庫の出荷停止が工場の生産停止へ波及する可能性があります。
そのためBCPでは、「倉庫内部に水が入る水位」だけではなく、どの程度のヤード冠水で物流を停止せざるを得ないのかも考えておく必要があります。
ヤード勾配は排水だけで決めない
ヤードから雨水を排出するためには勾配が必要ですが、勾配を大きくすればすべて解決するわけではありません。トラックがバースへ接車する位置で傾斜が大きいと、荷台高さや車両姿勢に影響することがあります。フォークリフトが屋外へ走行する場合にも、過度な勾配は荷役の安定性へ影響します。そのため、排水勾配、バース高さ、トラック軌跡、フォークリフト動線を一体として検討します。
排水設計者だけでヤード高さを決め、後から物流レイアウトを重ねるのではなく、土木・建築・物流担当者が早い段階から調整することが重要です。
下水道や水路からの逆流にも注意する
豪雨時には、敷地から水を排出できないだけでなく、公共下水道や周辺水路から逆流する可能性もあります。外部水位が上昇すると、排水管を通じて敷地側へ水が戻ることがあります。施設条件によっては、逆流防止設備などを検討する必要があります。
ただし、排水経路を閉じれば、その間に敷地へ降った雨を外へ流すこともできなくなります。そのため逆流防止だけを単独で考えるのではなく、逆流を止めている間の雨水をどこへ貯留するかを合わせて考える必要があります。
生活汚水は雨水と分けて計画する
トイレ、洗面、給湯室などから発生する生活汚水は、雨水とは別系統で処理します。公共下水道が整備されている地域では、その接続条件を確認します。公共下水道が使用できない場所では、施設条件に応じて浄化槽などを検討する場合があります。
土地選定時には「前面道路に下水道管がある」という確認だけで終わらせないことが重要です。接続位置、管底高さ、自然流下できるか、ポンプアップが必要かなどによって設備費が変わります。
郊外の物流用地では、土地価格だけでなく排水インフラ整備費も含めて事業費を比較する必要があります。
「産業排水だから」と一律に考えない
倉庫で発生する事業活動由来の排水は、施設によって内容が大きく異なります。一般物流倉庫ではほとんど発生しない場合もありますが、食品倉庫では床・設備洗浄水、工場併設倉庫では生産関連排水、車両関連施設では整備時の排水が発生することがあります。
必要となる処理や届出は、事業内容、設備、水質、排水量、放流先などによって異なります。したがって「倉庫だから水質規制は関係ない」と考えるのではなく、保管以外にどのような作業を行うのかを確認し、そこから発生する水を整理することが重要です。
床洗浄水を雨水系統へ流してよいとは限らない
倉庫内を水洗いする場合、床排水口を設けることがあります。しかし床洗浄水には、床に付着した油、洗剤、食品残渣、商品由来の物質などが含まれる可能性があります。そのため、単純に屋外の雨水排水へ接続してよいとは限りません。
特に食品、油脂類、化学品などを扱う施設では、建物設計前に清掃方法を決め、排水の性状と必要な前処理について確認することが重要です。「水洗いできる床にする」という要求だけではなく、洗った水を最後にどこへ流すのかまで設計条件とすることが必要です。
トラックヤードでは油流出も想定する
トラックヤードや駐車場は通常時には雨水系統として考えますが、車両から燃料、エンジンオイル、油圧油などが漏れる可能性があります。雨が降っている状態で油が漏れると、側溝を通じて広範囲へ拡散する可能性があります。
特に給油設備や車両整備場所、油類の保管場所がある場合には、一般的なヤードとは区別して排水計画を検討する必要があります。必要に応じて油水分離設備などを検討しますが、油水分離設備があるから何を流してもよいということではありません。
油流出事故では「処理」より先に「止める」
大量の油が事故によって流出した場合、通常の排水設備だけで処理できない可能性があります。そのため事故対策では、油水分離設備だけでなく、流出物が敷地外へ出る前に排水経路を遮断できるかを考える必要があります。
発注者として整理したいのは、油が「どこで漏れる可能性があるか」「漏れた場合にどこへ流れるか」「どこで止めることができるか」という流れです。油・化学品を扱う区画では、通常時の排水と事故時の排水を同じ考え方で処理しないことが重要です。
化学品保管では床排水を設けないほうがよい場合もある
液体化学品を扱う場所では、「漏れた液体を排水するために床排水口を設ける」と考えることがあります。しかし、流出した薬品を排水管へ流してしまうこと自体が大きな問題になる場合があります。
保管物によっては、防液区画や受け皿などで漏えい物を留め、排水せずに回収する方法が適しているケースもあります。
どの方式が適切かは、保管物の性質、数量、SDS、関係法令などによって異なります。清掃性だけを理由に床排水を設けず、事故時の流出経路から逆算して計画することが重要です。
食品倉庫では清掃方法から排水を決める
食品や食品原料を扱う倉庫では、水洗い清掃を行う場合があります。この場合には床勾配、排水溝、排水口、清掃性を検討する必要がありますが、倉庫全体へ一律に勾配を付ければよいとは限りません。
ラックやフォークリフトを使用する乾式保管エリアでは、床の平坦性が重要です。そのため水洗いが必要な作業区画と、乾式保管区画を分ける方法が考えられます。
排水設備も「食品倉庫だから全面設置」ではなく、実際の清掃・作業工程に合わせて必要範囲を決めることが重要です。
冷凍・冷蔵倉庫ではドレン・除霜水も考える
冷凍・冷蔵倉庫では、冷却設備のドレンや除霜による水も発生します。低温環境では排水管や排水口が凍結する可能性があり、排水不能になると設備周辺へ水があふれることがあります。また、前室や冷凍庫入口では結露水が凍結し、滑りの原因になる場合もあります。
そのため冷凍設備メーカーと建築設備設計者の間で、排水位置、配管経路、凍結防止などを早い段階から共有することが重要です。
排水ポンプと非常用電源の関係を確認する
雨水貯留槽や地下ピットなどからポンプ排水を行う施設では、停電対策も重要になります。豪雨による停電で排水ポンプが停止すれば、水は流入し続ける一方で排水できなくなります。
そのためBCP上重要な排水ポンプについては、非常用電源の対象とする必要があるかを検討します。建物に非常用発電機が設置されていても、すべての排水ポンプがバックアップされているとは限りません。発注者は、どのポンプが非常電源に接続され、どの程度運転できる計画なのかまで確認することが重要です。
重要な電気設備は浸水しにくい位置へ配置する
排水能力を高めても、想定を超える豪雨に対して浸水リスクを完全になくすことは難しい場合があります。そこで重要になるのが、「浸水しても致命的な設備を失わない」配置です。
受変電設備、制御盤、WMS関連機器、非常用発電設備などが低い場所に集中していると、商品が浸水しなくても倉庫全体が長期間停止する可能性があります。
特に自動倉庫では電気・制御設備が停止すると商品を取り出せないこともあるため、排水計画と重要設備の設置高さを一体として考える必要があります。
排水溝・集水桝は清掃できなければ性能を維持できない
排水能力は、配管径や側溝寸法だけで決まるものではありません。ヤードの側溝や集水桝には、砂、泥、落葉、ゴミなどが蓄積します。排水計算上十分な能力があっても、グレーチングや排水口が詰まれば雨水を取り込めません。法面や植栽に近い場所では、豪雨時に土砂や落葉が大量に流れ込む可能性もあります。
そのため点検・清掃しやすい位置に集水桝を設け、定期清掃を維持管理計画へ組み込む必要があります。特に大雨が予想される場合には、事前に側溝や排水口を点検する運用も重要です。
既存倉庫は「今まで浸水していない」で判断しない
既存倉庫を購入・賃借する際、「これまで水害がなかった」という情報は参考になりますが、それだけで今後の安全性を判断することはできません。
周辺開発によって舗装面積が増えたり、排水環境が変わったりする可能性があります。また、既存側溝の沈下、排水管の劣化・閉塞、増築による雨水量増加なども考えられます。
そのため既存施設では、過去の浸水履歴とともに、現在の敷地高さ、側溝、排水桝、雨水管、ポンプ、放流先を現地で確認することが重要です。
増築時は既存排水設備の余力を確認する
倉庫を増築すると、屋根面積や舗装面積が増え、それに伴って雨水流出量も増加します。増築部分だけに新しい竪樋を付け、既存の雨水管へ接続したとしても、その下流側の管や貯留設備に十分な余力がなければ、敷地全体として排水能力が不足する可能性があります。
そのため増築では、新築部分だけではなく、既存建物を含めた雨水系統全体を再確認することが重要です。
倉庫の排水計画は土地選定から始まる
排水計画は、設計が始まってから考える設備ではありません。土地によって、周辺道路高さ、下水道、河川・水路、雨水放流条件、必要な貯留量、地下水位などが異なり、これらが建設費へ大きく影響します。
土地単価が安くても、大規模な造成、雨水貯留槽、排水ポンプ、止水設備などが必要であれば、総事業費が高くなる場合があります。
そのため倉庫用地を比較する際には、接道や用途地域だけでなく、「大雨が降ったときに、この敷地の水をどこへ流せるのか」を確認することが重要です。
発注者が基本設計段階で確認したいこと
発注者自身が排水管径やポンプ容量を決める必要はありません。しかし、設計者へ確認しておきたいのは、通常時だけでなく豪雨時の水の動きです。
例えば、排水能力を超えた場合に敷地のどこが最初に冠水するのか、バースから倉庫内へ流入する可能性はないか、放流先の水位が上がった場合に雨水をどこへ貯めるのか、停電しても重要な排水ポンプを使用できるのか、といった点です。
さらに床洗浄、車両整備、油・薬品の保管などを予定している場合には、それらの作業内容も設計者へ伝える必要があります。倉庫の排水計画では、通常時・豪雨時・事故時の3つの状態で水の流れを確認することが重要です。
CM会社が排水計画を確認する意味
大型物流倉庫の排水計画には、建築、土木、外構、給排水設備、電気設備、物流計画など複数の分野が関係します。例えば、土木設計上は効率的な排水勾配であっても、トラック接車やフォークリフト走行には不利な場合があります。雨水貯留槽をヤード下へ設ければ大型車の荷重条件を考慮する必要があり、ポンプを設ければ非常用電源との調整も必要です。
CM会社は発注者側から、雨水・汚水・事業排水・事故時排水を整理するとともに、造成、ヤード、バース、設備、BCPへの影響を横断して確認します。
重要なのは単に「水が流れる設計」にすることではなく、通常時には適切に排水し、豪雨時には水を受け止め、事故時には外へ流してはいけないものを止められる施設にすることです。
2026年8月22日の関東南部の大雨では、練馬で1時間66.5mm、東京で日降水量110.5mmが観測され、白子川でも一時、氾濫危険水位を上回りました。このような局地的な強雨は、河川周辺だけでなく、都市部や排水能力の限界を超えた地域でも浸水リスクを高めます。
大型物流倉庫では広い屋根とヤードから短時間に大量の雨水が集まるため、雨水管や側溝だけではなく、敷地高さ、舗装勾配、雨水貯留、放流先、逆流、排水ポンプ、重要設備の配置を一体として検討することが重要です。
また、雨水、生活汚水、床・設備洗浄など事業活動に伴う排水、油や薬品を含む可能性のある排水は、それぞれ性質が異なります。通常時の排水経路だけでなく、油・薬品の事故時にはどこで流出を止めるのかまで考えておく必要があります。
発注者が特に確認したいのは、「計画上の雨量を処理できるか」だけではありません。想定を超える雨が降った場合に、どこが冠水し、どこへ水を逃がし、どの設備と物流機能を優先して守るのかまで確認することが重要です。
これからの倉庫の排水計画では、排水設備を単なる建築設備としてではなく、浸水による商品損失や物流停止を抑えるためのBCPインフラとして考えることが求められます。
【重要事項】
本記事は、物流倉庫等における雨水、生活汚水、事業活動に伴う排水、油・薬品等の流出および豪雨時の浸水対策について一般的な考え方を整理したものです。
必要な雨水排水能力、計画降雨、貯留・浸透施設、放流量、公共下水道への排除条件、事業活動に伴う排水の処理方法等は、所在地、敷地条件、施設用途、水質、自治体や下水道管理者の基準等によって異なります。
また、過去の豪雨実績やハザードマップは重要な判断材料ですが、それだけで個別敷地の将来の浸水可能性を断定することはできません。具体的な倉庫計画では、最新の洪水・内水ハザード情報や行政基準を確認し、設計会社、土木・外構設計者、設備会社、下水道管理者、必要に応じて関係行政機関等と個別条件を確認したうえで計画してください。
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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