物流倉庫のTC・DC・PCの違いとは?建築計画で押さえたいポイントを解説
物流施設の建設を検討していると、「TC」「DC」「PC」といった言葉を目にする機会があります。物流業界では一般的に使用される用語ですが、初めて物流センターの建設を計画する発注者にとっては、それぞれの違いが分かりにくいと感じることも少なくありません。
しかし、TC・DC・PCは単なる物流用語ではなく、施設の役割そのものを表しています。そして、その役割の違いは建物計画にも大きな影響を与えます。例えば、同じ物流施設であっても、求められるトラックバース数や梁下高さ、床荷重、空調設備、給排水設備などは大きく異なります。
近年はEC市場の拡大や物流の効率化、さらには物流業界の2024年問題への対応などを背景に、高機能物流施設への需要が高まっています。そのため、物流センターの計画では単に倉庫を建設するのではなく、物流機能に適した施設を整備することが重要になっています。
本記事では、TC・DC・PCそれぞれの特徴と違い、そして建築計画の観点から押さえておきたいポイントについて解説します。

物流センターとは何か
物流センターとは、商品の保管や配送を効率的に行うための物流拠点を指します。従来の倉庫は「保管」が主な役割でしたが、近年の物流施設には保管だけでなく、仕分け、検品、ピッキング、梱包、加工、出荷など様々な機能が求められています。
特にEC市場の拡大によって多品種少量出荷への対応が必要となり、物流施設には高度な物流処理能力が求められるようになりました。その結果、物流センターは単なる保管施設ではなく、企業の物流戦略を支える重要なインフラとして位置付けられています。
物流センターは役割によって大きくTC(Transfer Center)、DC(Distribution Center)、PC(Process Center)の3種類に分類されることが一般的です。
TC・DC・PCの違いを比較
まずは、それぞれの特徴を整理してみましょう。
| 種類 | 主な役割 | 建築計画で重視するポイント | 主な利用例 |
|---|---|---|---|
| TC(Transfer Center) | 仕分け・積替え | トラックバース数、荷捌きスペース、車両動線 | コンビニ配送、スーパー配送 |
| DC(Distribution Center) | 在庫保管・出荷 | 梁下高さ、床荷重、ラック計画、自動倉庫対応 | EC物流、製造業倉庫 |
| PC(Process Center) | 加工・包装・セット組み | HACCP対応、空調設備、給排水設備、衛生区画 | 食品物流、食品加工 |
同じ物流施設であっても、物流機能が異なれば建物に求められる仕様も大きく変わります。そのため、物流施設の建設を計画する際には、まず自社がどのような物流機能を必要としているのかを明確にすることが重要です。
TC(Transfer Center)とは
TCとはTransfer Center(トランスファーセンター)の略称であり、一般的には「通過型物流センター」と呼ばれています。
TCの最大の特徴は、商品を長期間保管しないことです。メーカーや仕入先から搬入された商品を店舗や配送先ごとに仕分けし、短時間で出荷することを目的としています。いわば物流の中継拠点として機能する施設です。
例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット向けの物流では、多数のメーカーから商品が集まり、それぞれの店舗向けに仕分けされた後、配送されます。このような物流ではTCが活用されるケースが多く見られます。
TCでは在庫を持たない、あるいは極めて短期間しか保管しないため、保管スペースよりも荷捌きスペースの確保が重要になります。また、大量のトラックが頻繁に出入りするため、トラックバース数や車両待機スペース、場内交通計画が物流効率に大きく影響します。
建築計画においては、商品の流れを止めないことが重要であり、搬入口から仕分けエリア、出荷エリアまでの動線をできるだけシンプルに構成することが求められます。
DC(Distribution Center)とは
DCとはDistribution Center(ディストリビューションセンター)の略称であり、「在庫型物流センター」と呼ばれています。TCとの大きな違いは、商品を一定期間保管することを前提としている点です。
DCではメーカーや仕入先から搬入された商品を在庫として保管し、受注に応じて出荷します。現在、日本国内で建設される物流施設の多くはDC型の機能を持っています。
特にEC物流では、膨大な商品を保管しながら迅速に出荷する必要があります。そのため、保管効率を高めるための建築計画が重要になります。
DCでは高層ラックを導入するケースも多く、梁下有効高さや床荷重、柱スパンなどが重要な設計条件になります。一般的な物流施設では梁下高さ5.5m〜6.5m程度が計画されることも多く、自動倉庫を導入する場合にはさらに高い空間が求められるケースもあります。
また近年はAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)、自動倉庫システム(ASRS)の導入が進んでおり、床の平坦性や通信環境、設備スペースなども重要な検討項目となっています。
PC(Process Center)とは
PCとはProcess Center(プロセスセンター)の略称であり、「加工型物流センター」と呼ばれています。
PCでは保管や仕分けだけでなく、商品の加工や付加価値作業を行います。
代表的な例としては、
・食品のカット加工
・惣菜製造
・ラベル貼付
・セット組み
・パッケージ加工
などがあります。
特に食品物流分野ではPCの活用が多く見られます。食品を取り扱うPCでは、一般的な物流施設とは異なり、衛生管理や温度管理が重要になります。そのため、HACCPを考慮したゾーニング計画や空調設備、給排水設備、防水仕様などが求められます。
建物としては倉庫というよりも工場に近い性格を持つケースもあり、一般物流施設より設備投資が大きくなる場合があります。
TC・DC・PCによって建設費も変わる
物流施設はすべて同じように見えるかもしれませんが、施設の機能によって建設費の考え方も変わります。TCでは保管設備よりも荷捌きスペースやトラックバースへの投資比率が高くなります。
DCでは高層ラックや自動倉庫への対応が必要になることが多く、梁下高さや床荷重などの建物性能が建設費に大きく影響します。
一方、PCでは食品加工や流通加工を行うため、空調設備や給排水設備、衛生区画などの設備投資が必要となり、一般的な物流倉庫より建設費が高くなる場合があります。
そのため、物流施設の計画では単純な坪単価比較だけではなく、施設機能まで含めて検討することが重要です。
近年は複合型物流センターが増えている
実際の物流現場では、TC・DC・PCが完全に分かれているとは限りません。近年は保管しながら仕分けを行うDC+TC型や、保管と加工を同時に行うDC+PC型など、複数機能を持つ物流施設が増えています。
特に食品物流やEC物流では、物流効率向上のために複数機能を一つの施設へ集約するケースも少なくありません。
そのため、物流施設計画ではTC・DC・PCのどれか一つを選ぶのではなく、自社の物流戦略に応じて必要な機能を整理することが重要になります。
発注前に整理しておきたいポイント
物流センターの建設を検討する際には、以下の内容を事前に整理しておくことをおすすめします。
□ 自社に必要な機能はTC・DC・PCのどれか
□ 常温・冷蔵・冷凍のどの物流を想定しているか
□ AGV・AMRや自動倉庫を導入する予定があるか
□ 一日の入出荷車両台数はどの程度か
□ 加工やセット組み作業を行う予定があるか
□ 将来的な増築や事業拡大を想定しているか
これらの条件によって建物仕様や設備計画は大きく変わります。建物完成後の変更は容易ではないため、基本計画段階から物流オペレーションを整理しておくことが重要です。
TC・DC・PCは、いずれも物流センターですが、それぞれ異なる役割を持っています。
TCは仕分けを中心とした通過型物流センター、DCは在庫保管を行う在庫型物流センター、PCは加工や付加価値作業を行う加工型物流センターです。
そして、それぞれの機能の違いは建物計画にも大きな影響を与えます。物流施設の建設では、単に倉庫を建てるのではなく、自社の物流戦略や運用方法に適した施設を計画することが重要です。
物流施設は企業の物流競争力を支える重要なインフラです。建築計画と物流計画を一体的に検討することで、長期的に価値の高い物流拠点の実現につながります。
【重要事項】
本記事はTC・DC・PCに関する一般的な考え方を解説したものであり、各物流施設の定義や機能を法的に規定するものではありません。実際の施設計画においては、取扱商品、物流オペレーション、設備計画、運用条件等によって必要な仕様が異なります。具体的な計画にあたっては専門家へご相談ください。
まとめ
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


