倉庫の床荷重設計で失敗しないために|用途別の目安と補強ポイント
倉庫を新築・改修する際に、見落とされがちなのが「床荷重(ゆかかじゅう)」の設計です。
フォークリフトやパレットラック、重量物の保管など、用途に合わない床荷重設計をしてしまうと、
後からひび割れ・沈下・改修費用の増大につながるリスクがあります。
本記事では、倉庫の床荷重設計で失敗しないための基本知識と用途別の目安・補強ポイントを、建設マネジメントの視点から解説します。

1. 倉庫の床荷重とは?
床荷重とは、「床が安全に支えられる重さ(1㎡あたり)」を示す値で、
単位は kg/m²(またはt/m²) で表されます。
倉庫の用途や使用機器によって必要な荷重は大きく異なります。
例えば、軽量物を保管するEC倉庫と、金属コイルや大型機械を扱う工場では、
必要な床荷重が数倍以上違うのです。
2. 用途別に見る床荷重の目安
| 倉庫の用途 | 主な使用機器・荷物 | 推奨床荷重の目安(1㎡あたり) |
|---|---|---|
| 一般物品倉庫(軽量物) | ダンボール・日用品 | 約1.0〜1.5t/m² |
| パレット倉庫(常温) | フォークリフト走行・パレット積載 | 約1.5〜2.0t/m² |
| 自動倉庫(高層ラック) | 自動搬送機・スタッカークレーン | 約2.0〜3.0t/m² |
| 金属・重量物倉庫 | 鋼材・部品・機械 | 約3.0〜5.0t/m² |
| 冷凍・冷蔵倉庫 | 床断熱層+重量ラック | 約2.0〜3.0t/m²(断熱厚考慮) |
| 工場一体型倉庫 | 設備機器+搬送ライン | 約2.5〜4.0t/m² |
これらはあくまで一般的な目安であり、実際には設備配置・フォークリフトの走行経路・積載時間などを考慮した詳細計算が必要です。
3. 床荷重設計の基本構成
倉庫の床は大きく分けて以下の3層構造で構成されています。
① コンクリートスラブ層
→ 荷重を受けるメイン構造体。厚さ150〜250mmが一般的。
② 地盤改良層・砕石層
→ スラブ下の支持層。地耐力(50〜100kN/m²)を確保することが重要。
③ 表面仕上げ層(塗床・エポキシなど)
→ 耐摩耗性・清掃性を確保。フォークリフト走行時の滑り防止にも関係。
これらの層がバランスよく設計されていないと、
スラブ厚を増やしても沈下やクラックは防げません。
4. 床補強が必要になるケースと対策
中古倉庫や改修案件では、既存スラブの補強工事が必要になることがあります。
ケース①:フォークリフト運用を追加したい場合
→ スラブ上増し打ち(コンクリート増厚)
既存床の上に100〜150mm打設して補強。
ケース②:重量ラックや機械設備を導入する場合
→ スラブ切り込み+基礎補強
部分的に掘削して鉄筋補強+新規打設。
ケース③:地盤の沈下リスクがある場合
→ 地盤改良(柱状改良・薬液注入)
地耐力を均一化して荷重分散を確保。
補強工事の費用目安は、
上増し打ち:1㎡あたり 8,000〜15,000円
地盤改良:1㎡あたり 10,000〜25,000円
程度が目安です。
5. 床荷重設計で失敗しないための3つのチェックポイント
1️⃣ 使用計画と将来用途を明確にする
→ 「フォークリフト導入予定」「自動化設備追加」など将来変化も想定して設計。
2️⃣ 地盤調査と構造計算を一体で実施
→ 地耐力・荷重分布を総合的に評価することが重要。
3️⃣ 専門家による床荷重診断を実施
→ 既存倉庫では、レーダー探査やコア抜き試験で構造確認を。
一度の設計ミスが、将来の運用コスト・補修費を何倍にも膨らませる原因になります。
床荷重は“見えない基礎性能”こそ最重要
倉庫の床荷重設計は、
建物の構造安全性と物流効率の両方に関わる“基礎中の基礎”です。
設計段階での判断ひとつが、10年先の稼働率・維持費を左右します。
用途に応じた適正荷重を設定する
地盤調査と構造検討をセットで行う
改修時は補強コストを含めた総合判断をする
これらを徹底することで、
「沈下しない・割れない・長く使える倉庫」を実現できます。
まとめ
倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


