【専門解説】冷凍倉庫の床断熱と結露対策のすべて|凍上防止・スラブ構造・断熱材選定を徹底解説

冷凍倉庫(–20℃〜–30℃)の設計において最も重要で、かつ施工不良が多いのが「床断熱」と「結露対策」です。

冷凍庫の床は外気や地盤との温度差が極めて大きく、適切な断熱・防湿・凍上(とうじょう)対策を行わないと、
以下のような深刻な問題が発生します。

  • スラブ下の地盤凍結(凍上)

  • 床の隆起 → フォークリフト走行不可

  • 結露によるカビ・腐食

  • スラブ内部に水が入り劣化が加速

  • 床補修で数百万円〜数千万円の追加費用

冷凍倉庫は一度稼働すると**改修が非常に難しいため、初期設計が“命”**です。

本記事では、冷凍倉庫の床で求められる断熱構造、凍上防止、結露対策を建設マネジメントの専門家視点でわかりやすく解説します。

1. 冷凍倉庫ではなぜ床断熱が必須なのか?

冷凍倉庫の床は、倉庫内部が–20℃前後、地盤温度は+10℃前後となり、
30℃以上の温度差が生じます。

この温度差により

❗ 地盤が凍結 → 水分が膨張 → 床が持ち上がる「凍上」が発生

凍上が起きると以下の問題が発生します:

  • 床が凸凹になり走行不可

  • 断熱材が破損

  • スラブにクラックが発生

  • 冷凍設備の効率が低下

  • 倉庫を一時閉鎖して大規模改修が必要

つまり 床断熱は凍上を防ぐための最重要構造なのです。

2. 冷凍倉庫の床断熱構造の基本(標準仕様)

一般的な冷凍倉庫の床構成は次のようになります。

  • コンクリートスラブ → 断熱材(押出法ポリスチレンフォームなど)→ 防湿シート(結露・湿気の侵入防止)→ ヒーター or 砕石層(凍上防止)→ 地盤
この構造は、①冷気の遮断 ②結露防止 ③凍上防止という3つの役割を果たしています。

3. 断熱材の選び方|冷凍倉庫で使われる断熱材の比較

冷凍倉庫では、以下の断熱材が多く使われています。

① 押出法ポリスチレンフォーム(XPS)

→ 冷凍倉庫の標準断熱材

メリット

  • 高い圧縮強度(床荷重に耐える)

  • 断熱性能が安定

  • 長期性能の劣化が少ない

適用例

  • 自動倉庫

  • 大型冷凍倉庫

② ウレタンフォーム(PU)

→ 小規模倉庫や複雑形状の断熱に有効**

メリット

  • 現場吹付が可能で隙間なく施工できる

  • 高い断熱性能

デメリット

  • 経年劣化しやすい

  • 水分吸収に注意が必要

③ フェノールフォーム

→ 高断熱が必要なケース**

メリット

  • 非常に高い断熱性能

  • 厚さを減らしたい場合に有効

デメリット

  • 価格が高い

4. 凍上を防ぐための方法(最重要セクション)

冷凍倉庫の床断熱は「凍上対策」が最優先。

以下の方法が用いられます。

① 床下ヒーター方式(最も確実)

床下に電気ヒーターや温水パイプを敷設し、
冷気が地盤に到達しないよう加温。

メリット

  • 凍上対策として最も確実

  • 低温–25℃以下に対応

デメリット

  • イニシャルコスト・電気代が高い

  • 故障時の補修が困難

② 換気方式(ベンチレーション)

外気を床下に取り入れ、温度を中和させる方式。

メリット

  • コストが低い

  • メンテナンスが容易

デメリット

  • 気候条件(寒冷地)では適用不可

  • 大型倉庫には不向き

③ 砕石層(防寒層)+断熱厚み増加

床下に十分な砕石層を確保し、地盤からの湿気と伝導冷却を抑制。

メリット

  • シンプルで耐久性が高い

  • 補修容易

デメリット

  • 冷凍温度が低い場合は不足

5. 結露対策|冷凍倉庫で最も多いトラブルは“結露”

結露は、建物の劣化だけでなくカビ発生・荷物の品質低下・設備故障も引き起こします。

【結露対策の基本3原則】

① 防湿層を確実に施工する(穴・隙間は絶対NG)

防湿シートの破れ・重ね不足は即トラブルにつながる。

② 温度差が大きい場所に断熱材を十分配置

一般倉庫より厚みが必要(100〜150mm程度)。

③ 床・壁・天井の断熱ラインを“連続”させる

断熱の切れ目は結露の発生源。

【発生しやすい場所】

  • ドック周り

  • 出入口周辺

  • 天井・梁部分

  • 冷気漏れのある隙間

  • 配管周り

ドック部分にはエアカーテン・高速シートシャッター・シール材が必須。

6. 冷凍倉庫でよく起きる失敗例

❌ 断熱厚み不足で床が沈下

→ 断熱材20〜30mm不足で数百万円の床補修が必要。

❌ ベンチレーションだけで凍上を防げると思った

→ 内部–25℃の倉庫ではほぼ不可能。

❌ 防湿シートに穴があり結露が発生

→ 改修には床全面を剥がす必要がある。

❌ 既存倉庫を冷凍化したが床荷重が不足

→ スラブ破損 → 大規模補強が必要。

冷凍倉庫は“改修失敗のリスクが非常に高い”ため初期設計が最重要です。

7. 冷凍倉庫の床計画チェックリスト(保存版)

✔ 断熱材の種類・厚みは適切か

✔ 凍上対策にヒーターが必要か

✔ 防湿シートの施工管理が徹底されているか

✔ 床荷重(1.5〜3.0t/㎡)は満たしているか

✔ フォークリフト走行と凹凸対策

✔ ドック周りの結露対策

✔ 断熱ラインが連続しているか

✔ ライフサイクルコスト(電気代+維持費)の検証

冷凍倉庫の床は“最も重要で、最も失敗しやすい部分”

冷凍倉庫の床断熱・結露対策は次の3つがポイントです。

① 地盤凍結(凍上)を防ぐ対策
② 断熱・防湿の適切な構造設計
③ ドック・開口部の結露防止

これらを正しく設計しなければ、床の破損・結露・荷物劣化・稼働停止など、多大な損失につながります。

冷凍倉庫は一度稼働すると改修が難しいため、建設計画の初期段階から専門家が関与することが極めて重要です。

まとめ

倉庫建設のプロセスでは、各段階での効率的なコスト管理と品質確保が鍵となります。弊社のコンストラクション・マネジメント方式を通じ、コスト削減と高品質な倉庫建設を提供することを目指しています。倉庫建設に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。